アルコールは肝臓で分解される

お酒を飲んだ時、体に入ってきたアルコールはどのように処理されているのでしょうか?
体内に入ったアルコールは、まず胃と小腸で吸収されます。そして、血液中に入ったアルコールは肝臓に運ばれていきます。アルコールは肝臓に入ると、『アセトアルデヒド』という有害な物質に分解されます。アセトアルデヒドは、さらにアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の働きで酢酸に分解されて、最後は水と炭酸ガスになって体外に排泄されます。

血液中のアルコールは肝臓で処理されていきますが、アルコールの処理能力は、飲む人の体の大きさやその日の健康状態など、かなり個人差があります。体重60kgの人が1時間で処理できるアルコール量は6.5gほどといわれています。これは、だいたい日本酒で0.3合、ビールで1/3本、ウイスキーダブルで1/3杯に相当します。だから、日本酒1合、ビール1本、ウイスキーダブル1杯のアルコールを処理するのには約3時間かかることになります。

お酒が強い人、弱い人?

このアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の働きには個人差があって、日本人の4割くらいの人は、その働きが弱いといわれています。そのために有害物質アセトアルデヒドが分解されにくく、アルコールを飲むと顔が赤くなったり、頻脈になったり、頭が痛くなったりと不快な症状が起こる人がいるのです。このように不快な症状があらわれる人は、体が受け付けないので、それ以上お酒を飲むことができません。しかし、ALDHの働きが活発なアルコールに強い人だと不快な症状があらわれないので、つい、どんどん飲酒量が増えてしまいます。ALDHはその間もアセトアルデヒドを分解するために一生懸命働いているので、肝臓が酷使され、疲れきってしまうのです。

ALDHには、アセトアルデヒドが高濃度にならないと働かないALDH1と、低濃度でも働くALDH2があります。このALDH2を多く持っているかどうかで、お酒に強いか弱いかが決まります。これは遺伝的なものなので、お酒に強い人、弱い人というのは、生まれつき持った体質ということになります。

お酒に強い人ほど飲み過ぎに注意しよう!

肝臓には、アルコールの分解のほかにも、栄養素の代謝、消化酵素・ホルモンの製造などといった、体の健康を維持するための重要な働きがありますので、アルコールの分解だけにかかわっていると、ほかの重要な働きに影響を及ぼします。

長い期間に渡ってお酒を飲みすぎていると、中性脂肪が増え、脂肪肝のリスクが高くなります。また、肝臓への負担が肝繊維症やアルコール性肝炎、さらに肝硬変、肝ガンを引き起こすこともあります。また膵臓(すいぞう)への影響もあります。急性膵炎は肝臓の強い人がお酒を飲みすぎることによって起こることもあり、糖尿病と合併することの多い慢性膵炎では患者の50%以上がアルコール性だといわれています。