ウコンについて

貴重な薬草ウコンの歴史

ウコンは英名ではターメリックといい、カレー粉に使われたりもしますが、日本でカレー粉に使われているのはオレンジ色に近い黄色で苦みのない秋ウコンです。ほかには、たくあんやカラシの色を出すのにも使われます。また、鮮やかな黄色が特徴なので染料として布などの染め物に使われます。このことからウコンは、黄染草(キゾメグサ)とも呼ばれます。

ウコンはキリストが誕生する以前から存在しているといわれ、その歴史は相当古いとされています。詳細は明らかになってはいませんが、日本に初めてウコンが輸入されたのも遙か昔のことです。

日本では、昔は大切な衣類をウコン染めの風呂敷に包んでおいたり、赤ちゃんの肌着にしたりと虫除けとして使われたり、女性の腰巻きにして防寒にと、とても重宝されて使われていました。

その昔、邪馬台国を治めていたとされる女王・卑弥呼の時代からウコンはありました。卑弥呼はもともと倭人で、中国の王にウコンを献上したという記録があり、倭国の人たちが体に巻いている布がウコンで染められたものだろうと、魏志倭人伝に書かれています。

その後の15~19世紀に沖縄本島を中心として存在した琉球王国の王朝では、砂糖などのほかに専売品だったとされていることから、ウコンがとても貴重な薬草だったことがうかがえます。ウコンは薬用としての効能があるだけでなく、染料や食料品の着色用・観賞用としても用いられ、利用の範囲が広いため、人々にとってとても必要性が高いものだったと思えます。

そんな貴重なウコンですから、栽培には王府の監視人が立ち会うほど、とても厳重な警戒のもとに行われていました。特に収穫の時の監視は厳しいもので、この厳重さは、ウコンが強力な繁殖力・生命力をもつ植物であることの証しです。しかし、この警戒の目をかいくぐり、夜中にウコンを掘り起こした人々もいたそうで、危険に身をさらしてまでも手に入れたかったほど価値がある植物とされていたのです。

ウコンとは

ウコンはショウガ科の多年草で、草丈は1メートル前後の大きさです。ショウガ科というだけあって、根茎のその姿はショウガにそっくりで、ゴツゴツした多肉質です。
花についてはあまり知られていないかもしれませんが、穂状でたくさん重なり合って咲き、とても美しい形をしています。
そして花が一ヶ月以上ももつことから、観賞用にも栽培されています。

ウコンの原産地はアジアの熱帯地域です。インドや中国の南部、日本国内では沖縄や鹿児島の一部の地域で自生しています。寒さに弱いため、冬になる頃には葉や茎は枯れてしまいます。

春ウコンといわれる「キョウオウ」と、秋ウコンといわれる「ウコン」がありますが、これは花をつける時期や、成分の含有量が違うために区別されています。
ウコンには多くの効能があるとされていますが、薬用に用いられるのは根茎の部分です。

ウコンの含有成分についてですが、主成分は黄色の色素のクルクミンという有効成分です。また、精油成分(エッセンシャルオイル)も含まれています。
ウコン(秋ウコン)と、キョウオウ(春ウコン)やガジュツ(紫ウコン)という類似種では、成分の比率が違ってきます。
クルクミンの含有量の多い順にあらわすと、ウコン、キョウオウ、ガジュツになります。精油成分の量では、ガジュツ、キョウオウ、ウコンの順に多く含まれています。

クルクミンはポリフェノール類の一種で、抗酸化作用をもつ抗酸化物質です。抗腫瘍や抗炎症作用があり、肝機能を改善します。
精油成分は多種が含まれ、代表的な作用には胆汁の分泌の促進や、健胃、抗菌があげられます。
そのほか、ウコンの根茎に含まれる成分には、鉄分や食物繊維、デンプンなどがあります。