肝臓の病気と症状

肝臓病に注意が必要な人と症状

こんな人は肝臓病に要注意

肝臓は強い臓器ですが、とても大切な臓器です。できるだけ不摂生をせず、いたわってあげましょう。特に肝臓病に注意が必要な人は、次にあげるような人です。

  • 戦後、結核の手術などで輸血したことがある人。
  • 東南アジアや中近東へ行き、生水・生ものを口にした人。また性的接触があった人。
  • カキなどの貝類を生のままで頻繁に食べる人。
  • 肝臓病を患っている近親者がいる人。
  • 何種類もの薬を服用している人。
  • 太っている人。
  • 偏食をしている人。
  • アルコールを、10年以上毎日飲んでいる人。

 

肝臓病の初期症状

沈黙の臓器といわれる肝臓ではありますが、耐えきれなくなるとSOSを出しますから、その信号を素早くキャッチして、早期発見・早期治療することが大切です。これはどんな病気にもいえることですが、肝臓病の場合は特に重要となります。
肝臓病の初期症状には次のようなものがありますが、風邪やそのほかの病気の場合にもみられるものが多く、まぎらわしくて、よく風邪と間違えられます。肝臓病と風邪を区別するのに重要なのは、咳(せき)です。風邪をひいた場合には咳がでますが、肝臓病では咳はでません。

  • 37℃くらいの微熱が出て、気分が悪くなる。
  • 体が疲れやすく、だるさがある。
  • 食欲がない、吐き気がする。
  • 下痢や便秘をする。
  • 尿の色が濃くなる。
  • 頭痛、腰痛がある。
  • アルコールに弱くなる
  • 好きだったお酒やたばこがまずく感じる。
  • 白目や顔が黄色っぽくなる。
  • 皮膚がかゆくなる。
  • 脇腰の右側に鈍い痛みがある。

 

進行したときの症状

初期の症状では判断できずによくわからない場合でも、肝臓病が進行してくると、特徴があらわれてきます。次のような症状が出たときには、速やかに医師の診断を受けましょう。

  • 体のだるさが増す。
  • 下痢と便秘が続く。
  • 手足がしびれる。
  • 手のひらの膨らんでいる部分が赤くなる。
  • 足がむくむ。
  • 出血しやすく、止まりにくくなる。
  • 爪が白っぽくなる。
  • 胸などに小さな赤い斑点が出る。
  • 黄疸が出る。
  • お腹の血管が浮き出てくる。
  • 男性の乳房がふくらむ。
  • 湿疹やじんましんが出て、かゆみが強くなる。

肝臓の働きとは

肝臓病は年をおうごとに増加する傾向にあり、肝炎は21世紀の国民病ともいわれます。肝炎、肝硬変、脂肪肝といった病名をメディアで見たり聞いたりすることも多く、関心をもつ人も増えていることでしょう。
肝臓病は、なかなか症状をあらわさないうちに進行してしまうというやっかいな病気で、肝臓は俗に『沈黙の臓器』といわれています。とても強い臓器で、全体のうちの70パーセントが損なわれたとしても、残りの30パーセントで働くことができるのです。多少痛めつけられても悲鳴をあげずにガマンして、頑張って働いてしまいます。

肝臓は、体内の化学工場といわれるようにさまざまな働きをしている臓器ですが、それには次のようなものがあります。

  • アルコールを代謝する
  • 胆汁を分泌して消化を助ける
  • 炭水化物をグリコーゲンとして貯える
  • タンパク質や脂肪からグリコーゲンをつくる
  • 尿素をつくる
  • アミノ酸をつくり、ビタミンを活性化する
  • 血液中のタンパク質をつくり、血流を調整する
  • 血液の凝固に関するヘパリン、フィブリノーゲンをつくる
  • コレステロールを排出する
  • 鉄や銅などをアルブミンと結びつけ貯蔵する
  • ホルモンの量を調節する
  • 体温を調節する

このように、人の体内で代謝や貯蔵といった、さまざまな働きをしていることが知られています。そして、もうひとつ、肝臓の重要な働きに、解毒作用があります。体内で処理することができない毒性の物質を体外に排出する役割を果たしているのです。

こうして肝臓は私たちの体を危険から守ってくれているのですが、強くなくては務まらないのです。そして、食べ過ぎたりアルコールを飲み過ぎたりすると、体が正常な状態を保っていられるように肝臓は身をけずりながら黙々と働くので、その過労がまとまって、取り返しのつかない病状を引き起こすことになります。