ウコンの薬効

殺菌・抗炎作用も

ウコンの薬効を調べるための動物実験によれば、タルクミンを与えたグループと、食塩水を与えたグループのそれぞれに、炎症を起こさせる物質を投与したところ、タルクミングループは、一方のグループに比べ、60~80% の高い割合で炎症が抑えられました。
ウコンの薬理効果の素晴らしさのひとつがまたまた実証されたわけですが、具体的には、「炎症」とはいったいどんなものなのでしょうか。

炎症による生体の変化には、局所症状と全身症状があります。
局所症状は、炎症の起こった部位には、発赤、腫脹、熱感、疼痛、機能障害が見られる他、膿を伴うことも多くなります。
全身症状は、発熱、食欲不振、全身倦怠感などがあります。

病気は三つのタイプに分けられます。19世紀にドイツのウィルヒョーが提唱した区分法で、炎症、変性、腫瘍です。

炎症とは、体内に侵入してきた異物を排除するために白血球が集まっている状態をいいます。発赤、腰痛、痺痛、発熱の四種類の生体反応が特徴です。そのほか、たとえば熟も持たず、痛みもともなわず、さらに腫れもしない冷たい炎症といわれるもの(結核) があります。

また、本来は異物を攻撃するはずの白血球が自分の体を攻撃している自己免疫疾患によるリウマチや関節痛なども炎症といいます。
炎症には抗生物質、自己免疫疾患には非ステロイド系の抗炎症剤や副腎皮質ホルモンなどが治療薬として使われます。

次に変性ですが、これは、細胞や組織の性質が何かの理由で変化をしてしまい、本来の役目を果たさなくなってしまうことをいいます。変性が起こる最も多い原因は年齢によるものです。加齢によらない主な変性には肝硬変や慢性腎炎、糖尿病、心筋梗塞などがあります。

腫瘍とは、体の中にあるはずのない組織ができてしまうことです。良性と悪性の二タイプがあります。良性は周囲の組織に悪影響を及ぼすことはなく、いぼ、こぶ、ポリープなどがあります。悪性の代表はいわずとしれたガンや肉腫です。良性と異なり、一定の大きさになっても増殖をやめず、やがて栄養を取り入れて、独自に成長を始めてしまいます。胃波止場や気管支炎などの炎症に、ウコンを試してみてはいかがでしょうか。

大腸ガンの場合、半数近くが再発

2009年時点で日本のガン死亡者数は、どのくらいだと思われるでしょうか?
2009年にがんで死亡した人は344,105例(男性206,352例、女性137,753例)です。調査によると、男女とも、おおよそ60歳代から増加し、高齢になるほど高くなっています。
およそ2~3人に1人がガンで亡くなっている計算になります。ちなみに、21世紀には全死亡者数の二人に一人が、ガンが原因で死亡するという絶望的な予測も伝えられています。がんで死亡することが当たり前になってしまうのです。

ところで、近年になって急激に増えているガンに大腸ガンと女性の乳ガンがあります。
最近の日本人の腸の傾向とさまざまな症状によれば、

  • 1955年…男性2079人/女性2160人
  • 2006年…男性22380人/女性18653人

という調査報告がでているそうです。異常な数値であることに変わりありませんが、このまま進むと、21世紀には肺ガンと大腸ガンが男性ガンのトップを争うだろうといわれています。
その理由としては、いろいろな健康雑誌などに繰り返しいわれているように、動物性脂肪を多く含む食品のとり過ぎや、繊維質の不足といった食生活の欧米化が指摘されています。
脂肪分のとり過ぎが、どうしてガンにつながるのでしょうか。まず、コレステロールや中性脂肪を増やし、高血圧を助長して動脈硬化の原因となり、脳溢血、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞の発生率を高めます。そして、ガンを発症させる理由は、解毒作用をアップして肝臓を強化で説明したとおり、大腸で消化されるのは、小腸で吸収されなかった食物繊維がほとんどですが、それを消化するのが腸内細菌の大切な役目です。腸内細菌の数は、およそ100兆個。重量に換算すると1kg~1.4kgもあります。その腸内細菌が、胆汁の主成分である胆汁酸に反応して、胆汁酸を「メチルコラントレン」という発ガン物質に変えてしまうのです。

高脂肪食ですと、それを消化するために胆汁が多量に分泌されますが、これが大腸の内壁にすみついている腸内細菌に悪影響を与えてしまいます。
大腸ガンは胃ガンよりも進行がゆるやかで治療もしやすいといわれています。ですが、患者の半数近くが再発してしまうケースが多く、やっかいな病気です。
大腸ガンが発生する理由としては、遺伝によるもののほかに、高脂肪と繊維の足りない食生活が指摘されています。自覚症状は人によって異なりますが、肛門からの出血、粘液状の黒い便、鉛筆のような細い便などが大腸ガンの代表的な症状です。

大腸の中でもとくに直腸部分に一番多く発生しますが、その理由としては、直腸部分の汚染物質の滞留時間が長く、汚染濃度が高くなるためだと考えられています。
食物が口に入ってから肛門にまで到着する時間には個人差があります。戦前の日本人は約30時間、現代人は半日から数日、それに比べ、欧米人は三日以上という統計があります。滞留時間が長ければ、汚染濃度が高くなるのはいうまでもありません。また、排泄の量ですが、ある調査ではイギリスの若者では120g、ウガンダの農民は、460gと言うデータが報告されています。
この差は、肉食と食物繊維の多い食事習慣の違いによるものです。
便は、体の中にためておいても何の得にもなりません。高脂肪、食物繊維不足の食事は、便秘にもつながり、その結果、大腸ガンの原因という図式になっってしまいます。年齢を重ねるごとに食物繊維をたくさん摂るように意識することが大切です。

胆汁・唾液の分泌をよくして胃腸の調子をよくする

ラットの胆道にウコンを注入してやると非常に強い消炎、利胆作用が表れたという報告がありました。これは、東京理科大学の教授のマウスを使った実験により明らかになりました。

また
「ウコンは胃酸の分泌をいくらか抑制する一方、胆汁の分泌を著しく促進し、胃腸の働きをよくする」といいます。
岩手大学の助教授は犬を使った実験で、「ウコン3gを水に溶かして与え、胃の運動を測定したところ、どの犬も著しく胃の運動が冗進した」と報告しています。

防衛医科大学の教授らによる共同実験では、ストレス性の胃潰瘍、十二指腸潰瘍の予防にウコンが効果的という報告もあります。

ウコンが口の中に入り、粘膜を刺激すると唾液が多く分泌されます。唾液には食べたものが体に役立つように変化させる消化酵素が含まれているほか、老化を防止するパロチンというホルモンが含まれています。

唾液の主な働きは、以下のとおりです。

  • 消化作用:唾液中の酵素ででんぷんをマルトースに分解する
  • 溶解作用:味物質を溶解して味覚を促進させる。
  • 洗浄作用:食べ物のかすを洗い流す。
  • 円滑作用:発音や会話をスムーズにする。
  • 抗菌作用:抗菌作用を持つ物質で病原微生物に抵抗する。
  • ph緩衝作用:phを一定に保ち細菌の繁殖を抑える。
  • 保護作用:歯の表面に皮膜を作りムシ歯を防ぐ

また、発ガンを防止する働きを持っています。唾液に含まれるペルオキシダーゼなどの酵素の作用で、唾液に30秒間、浸すだけで、発ガン物質の毒性のほとんどが消えてしまうほどです。日頃、あまり意識しませんが、唾液の働きというのは、とても大切で、人にとって欠かせないものです。

唾液に閑適して噛むことの効用や影響は大きく、1923年(大正12年)、ゆっくり食べる、つまりよく噛むことが健康につながる養生法として日本でブームになったことがありました。病弱で肥満体だった人が食べ物をよく噛んで食べるようにしたところ、体重が30kgも減り、健康になり、フレッチャーイズムとして日本に紹介されたのです。

噛むことは、意識してできる唯一の消化です。胃が疲れてるなと思ったら、よく噛んで胃腸の負担を助けてあげましょう。よく噛めば唾液がたくさん出ます。また、よく噛むことは、消化吸収をあげるばかりでなく、自律神経の安定にも役立ちます。唾液腺は、自律神経に支配されています。
体調がすぐれないときなどは、特に「よく噛む」ことを意識して食事をするようにすると体調も改善するでしょう。