Question

腸管出血性大腸菌「O-157」の予防として、お茶や納豆に薬効があるという説があります。医学的にそういった効能・効果は、確認されているのでしょうか?もしそうなら、生薬のウコンやガジュツにも大腸菌を殺菌する薬効が期待できませんか。

Answer

生薬の特徴の1つは、「ブドウ球菌」をはじめ、菌型のいかんを問わず「病原性大腸菌」の生育抑制に働きを示すことです。しかし、実際にこれらに対して成長阻害作用を持つことがはっきり証明されている生薬はほとんどなく、いまのところ「O-157」に対して有効性が期待されるのはウコンかガジュツしか見当たりません。

ウコンではとくに、ブドウ球菌やO-157などの病原性大腸菌を抑える作用のあることが実験的に確かめられています。人の大腸にはわかっているだけでも約百種類、数にして百兆の細菌が生息していると言われます。大腸菌は腸内細菌の一つで、長さが二2~4ミクロン(1ミクロンは1000分の1mmで、1000倍に引き伸ばすと1mmの長さに見える)の短梓菌で、運動性を持っています。大腸菌には食物の残りかすを分解するほか、ある種のビタミンを作る働きがあり、通常は病原性を示しませんが、一部には「大腸炎」や「尿路感染症」を引き起こす病原性大腸菌もいます。病原性大腸菌は詳しく研究されていて、「腸管病原性大腸菌」「腸管毒素性大腸菌」「腸管浸襲性大腸菌」「腸管出血性大腸菌」「腸管付着性大腸菌」の五種類に大別されますが、近年話題になっている大腸菌O-157は腸管出血性大腸菌の一種です。また、抗生物質を多用してきた結果、院内感染を引き起こして社会問題化している「MRSA」(メリシン耐性黄色ブドウ球菌)にもウコンは効力を発揮し、O-157に対するのと同じような効きめを示すと考えられます。