Q&A

糖尿病への作用

Question

国民病とも言われ急増している糖尿病に対してウコンの薬効が取り上げられていますが、はたしてインシュリンの代わりになる働きがあるのでしょうか。

Answer

人間の体が必要とするエネルギーは、食物中の成分を通して得られますが、三大栄養素のうち、糖質は肝臓で「ブドウ糖」(グルコース)を作り、からだを動かしたり、脳を働かせるための必要なエネルギー源になっています。
つまり、血液中には常に一定量のブドウ糖が含まれていて、活動するためのエネルギーはブドウ糖を通して獲得されますが、エネルギーとして使う必要のない余分な糖質は、とりあえずグリコーゲンという別の糖質に変えられたり、または脂質に変換されて、人体に蓄えられます。

人体は必要に応じて膵臓の「ランゲルハンス島」から「インシュリン」というホルモンを出し、それが生体のさまざまな組織におけるブドウ糖を取り込んだり、またブドウ糖を燃焼させて糖利用を促進させ、血液中のブドウ糖である「血糖」(血液中に含まれるグルコース) を減少させる働きをしています。すなわち、血糖が多すぎれば肝臓にこれを摂取させ、グリコーゲンに変えて蓄えることで血糖を下げるとともに、肝臓内のグリコーゲンの分解およびブドウ糖びの放出を抑えてくれます。

インシュリンは生体において重要な働き、作用をしているだけに、これが欠乏すると、人体にとって絶対的な必需品を失うに等しい大痛手となります。

糖尿病とはインシュリンというホルモンの欠如またはその作用不足によって生じる病気ですが、本病は「Ⅰ 型糖尿病」と「Ⅱ型糖尿病」とに分けられます。Ⅰ型糖尿痛患者では、膵臓からインシュリンが出なくなります。したがって、必ずインシュリン注射を必要とするので、これは「インシュリン依存症」。
残りの大多数はⅡ型の糖尿病患者です。型糖尿病はインシュリンがまったく出ないのではなく、必要なだけのインシュリンが出ないとか、インシュリンが正常に働いてくれない状態なので、これは「インシュリン非依存症」です。
Ⅲ型糖尿病は生活習慣病の最も代表的な症例ですが、わが国ではⅢ型糖尿病がものすごい勢いで増加しています。そのほか、糖尿病の予備軍も同様に急増しています。
正常な人と糖尿病のちょうど境目にいる人たちを「境界型糖尿病」と呼んでいますが、このグループが糖尿病患者の約2倍以上もいます。

糖尿病がなにより怖い点は、からだの抵抗力がなくなって、頭のてっぺんから足先まで、あらゆる部位に「合併症」が生じてくることです。
糖尿病の最大の敵は「肥満」ですから、太った人が正しい食事制限をして、標準体重の近くまで減量すれば、糖尿病の状態はずっと改善されます。それにもかかわらず、近年は、肥満が原因で成人病にかかる人が急増するばかりです。
若年層における成人病は、将来の大きな社会問題となることでしょう。小学生がインスリンを打っている姿も珍しいものでなくなってしまった昨今は、異常です。

人が生きていくには、いろんな栄養素を摂取していく必要があるとはいうものの、現代社会では栄養の過剰摂取が主要な原因となって、糖尿病患者を大量発生させているのです。飢えることのない時代だからこそ、栄養過多を避け、日々の食事では豊から質への転換を図り、必要な栄養分だけを摂取することが健康上の大切な心がまえとされます。
なお、ウコンには血糖を直接的に抑制する作用はないようです。ただし、ウコンには脂質を燃焼させて分解する脂質代謝の異化作用があるので、生体に蓄積される脂肪を少なめに抑えることができます。
したがって、脂質の蓄積によって生じる動脈硬化を遅らせる役目とともに、ウコンは糖尿病の抑制に関与しており、二次的な予防に役立っていると言えます。
仮に糖尿病にかかっていたとしても、二次的に起こる脂質代謝での異常をコントロールすることで、その治療に好影響をもたらすことに期待できるでしょう。

肝炎は治る?

Question

肝炎ウイルスに感染した場合、肝硬変から肝臓ガンに移行すると聞いていますが、ウコンに肝炎ウイルスを退治する薬効は期待できるのでしょうか?

Answer

現在、明らかにされている「ウイルス性肝炎」には、A、B、C、D、Eの5種類です。「B型」および「C型」の肝炎ウイルスに感染した場合にのみ、「肝臓ガン」に進行すると見なされています。
世界におけるガンのデータをつぶさに検討してみると、肝臓ガンはB型またはC型の肝炎ウイルスに感染した結果として生じる腫瘍と見なされています。
わが国で問題視されている肝炎ウイルスもまたB型およびC型で、両者ともに血液を介して感染しますし、唾液や精液からも移る可能性があります。
B型およびC型の肝炎は、両者とも慢性化します。「慢性肝炎」では、肝細胞の破壊がそれほど多く起こりませんが、ゆっくりと進行するため、肝機能障害が長く続いて、門脈の周辺や中心静脈が線維で結合される結果、肝臓がしだいに硬化され、やがて「肝硬変」を招いて、その過程で肝臓ガンが発生します。

「A型」はウイルスが水や食物といっしょに口から侵入してくる経口感染で、昔からあった流行性肝炎ですが、わが国では発症数が著しく減少しています。
A型に感染すると、脱力感を感じたり、黄痘が出たりしますが、ほとんどは「急性肝炎」で終わることが大半で、A型肝炎で慢性肝炎から肝臓ガンに至ることはまずありえず、正しい治療をすれば命を失うことはありません。
A型は一度、感染すれば「終生免疫」をつけて、再感染することはありません。急性肝炎の場合、肝細胞に肝炎ウイルスが侵入してくると、生体での免疫機能が働いて、ウイルスを異物として取り除こうとするリンパ球の働きによって、ウイルス感染を受けた肝細胞が破壊されるために肝炎が起こります。

「E型」はA型にも似たウイルスで、北インドやネパール周辺、またゴビ砂漠やモンゴルに見られるタイプで、日本には存在しない型です。ただし、昨今は、国境を容易に越えやすくなっており、国境の不明確なボーダーレス社会と化しているので、日本人がその方面に旅行したとき、まれに感染を受けて、A型肝炎に似た急性肝炎を起こす例があるので、あながち無視もできません。
E型もA型と同じく経口感染です。大便の中にウイルスが排泄されるので、大便に汚染された水さえ飲まなければ、A型やE型に感染することはありません。

「D型」も非常に少ないウイルスで、日本ではわずかしか例がありません。
D型は単独では存在せず、B型と量感染していますが、どのような経路で感染するのかわかっていません。遺伝的に肝臓ガンを懸念する人が、発病以前になんとかこれを予防したいという願いから、着目しているのが生薬のウコンです。
ウコンに発ガンの促進を抑制する薬効があると考えられているからですが、そうした働きがわかってきたのはここ20数年くらいの間です。
したがって、肝臓病患者にウコンを飲ませていけば、肝臓ガンになりにくい体質に改善されるのではないかと期待されているわけです。しかし、ウコンによるガン化抑制の薬効は、まだ完全に証明されている問題ではなく、現段階では可能性を持っているとしか言いようがありません。
とはいうものの、ウコンが有する発ガン促進物質を抑制する働きによって「慢性肝炎1 肝硬変1 肝臓ガン」に進む過程で、ガン化を食い止めることが期待されており、ただいま研究が進められている段階です。

肝臓という臓器は、消化器の働きを誘発するために胆汁を作り出すことをはじめ、必要に応じて、生体に吸収された栄養素を同化したり、貯蔵したり、害になるものを解毒するなど、人体が生命を維持していくうえでの不可欠な、ありとあらゆる生化学処理を営んでいます。
また、ウコンの薬効の一つに、胆汁分泌完進作用がありますが、ウコンのこの働きが肝細胞を活性化させ、さらに肝臓の機能を強化してくれるので、とうぜん肝臓病の治療に対していい結果を招くと考えられています。肝臓は「沈黙の臓器」と言われるとおり、その異変になかなか気のつきにくい一面がありますが、人体の総合化学工場に喩えられる臓器ですから、大切にしなければなりません。

二日酔い防止

Qestion

ウコンで2日酔いを防げるか?
年齢のせいか、酒席翌日の二日酔いが抜けきれずに因っています。酒席前にあらかじめウコンを飲んでおけば酒の酔いを早く取り除けるとのことですが、二日酔いが本当に解消できるのでしょうか。また、酒を飲んだあとにウコンを飲んで二日酔いが取れるでしょうか。

Answer

テレビCMの影響からか?ウコンは専ら「二日酔い」を軽減するための商品だと思っている人も多いことでしょう。まず、お酒(アルコール)を飲むと、アルコールを分解する「酵素」の働きで「アセトアルデヒド」に変化し、酢酸を経て、最終的には水と炭酸ガスに変わっていきますが、この一連の操作は肝臓で行なわれています。
なぜ二日酔いが起こるかというと、端的に言うと、アセトアルデヒドが蓄積されるからです。日本人にはアセトアルデヒドを分解する酵素を少ししか出せない人がわりと多く、また分解酵とMそ素をほとんど持たない人もいます。
お酒が全く駄目な人は、正月の日本酒をちょっと口にしただけで酔っぱらって千鳥足になったり、奈良漬を一切れ食べただけで顔を真っ赤にしてふらふらになりますが、これはアセトアルデヒドを分解できずに、体内にアセトアルデヒドのままの状態でとどこおってしまうからです。こんな人は、飲み会でも大抵、烏龍茶オンリーです。

しかし、アセトアルデヒドを分解する酵素が少ない人であっても、ウコンを飲むと酵素が誘導されるため、分解力が高まって、酒に酔いにくくなります。酵素をぜんぜん持たない人がウコンを飲んでもほとんどどうにもなりませんが、ある程度の酵素を持っている人であれば、ウコンを飲むことで肝臓の細胞が活性化され、分解酵素が活発に働いて、肝臓での解毒機能が高まり、アルコールとアセトアルデヒドの分解が活発化し、その代謝物を体外に素早く排出できます。したがって、酒を飲む前であれ、飲んだあとであれ、ウコンを服用しておけば、二日酔いが素早く解消されます。
ちなみに、アルコール飲料として飲まれているものの主成分は「エタノール」です。エタノールは、「エタノール→アセトアルデヒド→酢酸→水」という過程で代謝されますが、アルコールの代謝とはこの作用のことを言います。コンビニやスーパーで売っているウコンの力はそれなりにお酒を飲む人用につくられているのです。