2013年 1月 の投稿一覧

胸焼けは解消できる?

Question

疲れがたまって食欲が減退したとき、油っこい料理は見るのも苦痛ですが、なぜ食欲わかいないのでしょうか?また、脂肪分や糖分の多いの食べ物を摂りすぎると、胸やけがして、胃腸薬を飲みたくなりますが、ウコンを飲めば、胸やけを解消できて、食欲を増進させることは可能でしょうか。

Answer

体力が弱ると、生体が「脂質」を吸収しにくくなります。夜中などに、勉強をしたり、仕事をするときなど、甘い物とか、アルコール類が欲しくなるのは、ブドウ糖や果糖といった単純な構造の「糖質」を摂取するほうが早く栄養分を吸収できて、代謝エネルギーを作りやすいからです。
疲れたとき、油物の料理を見るのもいやになり、甘い物とか酒が欲しくなるのは、短時間で分解して簡単に吸収できる栄養素が糖質のブドウ糖や果糖だからです。
一方、脂質という栄養素は、生体に蓄えるには都合よくできていますが、それを代謝作用で異化する過程では、糖質の2倍以上のエネルギーを必要とするので、その分解・吸収の過程において消化器系に大きな負担をかけてしまいます。
したがって、からだが疲れて消化器官が弱っているときには、からだが脂肪分の多い食べ物を受け付けてくれません。これは、ごくごく自然な体の仕組みです。
ウコンは胆、汁の分泌を克進させます。胆汁は脂質の消化には不可欠な物質で、その消化・吸収を促進します。
つまり、胃が常時むかむかしている人が定期的にウコンを服用すれば、胸やけを軽減または、解消することができますが、そもそも日常の食事で脂肪の多い食べ物を過剰に摂らないように制限することのほうが重要です。
味覚の習慣は地域と時代によって大きく異なりますが、50数年前の子供達は、油で揚げたおかずを食べる機会がそれほど多くありませんでした。そもそも、肉そのものを口にすることが少なく、魚を煮たり焼いたり、あるいは生のままで、どちらかと言えば、肉類より海の幸を多く食べてきたし、野菜類を主要なおかずにしていました。

日本人の伝統的な味の一つにアミノ酸味があります。すなわち、コンプ、カツオブシ、イリコの煮干し、シイタケなどでダシを取り、醤油・酢・砂糖・塩・味噌などを使って、料理に味付けしていました。ところが、最近の食べ物がどのように変化したかと言うと、とくにアメリカ直輸入のファーストフード店が若者たちの人気を集めていて、そこでの食べ物はハンバーガーをはじめ、フライドチキンヤフライドポテトなど、油で揚げた脂肪を含む食品が主力です。また、インスタントラーメンでの味の引き立て役を務めている油にはラードが使われています。近年の日本人の味覚は、醤油味からソース味へと明らかに好みが変わつてきました。青少年時代なら脂肪味の食べ物でも消化・吸収が容易でしょうが、高年齢になつてなお脂肪昧の食事を続けていると、例外なく「脂肪過多による肥満」を招きます。

脂肪太りは好ましくない傾向で、とくに内臓での脂質の蓄積は大問題です。アメリカ人での肥満の多くは、子供時代のそうした食習慣に起因しており、皮下脂肪による太り方とは異なって、内臓に付着した脂肪で太ってくるのです。アメリカでは「ジャンク・フード」の是非が社会問題化して、政治の大きなテーマにもなっています。

アメリカ人の中には自分たちの食文化を忌避して、日本食を試みる人も増えていますが、こうした傾向は自分たちの食生活への反省に基づいています。しかし、いったん身についた味覚の習慣はそう簡単に変えられるわけもなく、もはや彼らの胃袋は絶え間なく食べ続けることを生理的に要求する状態になつています。
近年の日本人の若者における食生活の結果をみますと、「心筋梗塞多発国」のアメリカ人よりもコレステロール値が高くなり、若くして成人病にかかりやすい体質が顕著になりつつあります。従来は幸運にして日本食のおかげで太ることが抑えられてきたものの、人体が太古から受け継いできた脂肪を蓄積する仕組みが強く働く時代になって、日本人は脂質を蓄えやすい体質になったという説が出てくるほどです。
ウコンを服用すれば、胃のむかむかが止まり、食欲が増進されますが、それ以前に、胸やけを起こすような油で揚げた食べ物を多く摂らない食生活に改善するほうがはるかに重要です。

糖尿病への作用

Question

国民病とも言われ急増している糖尿病に対してウコンの薬効が取り上げられていますが、はたしてインシュリンの代わりになる働きがあるのでしょうか。

Answer

人間の体が必要とするエネルギーは、食物中の成分を通して得られますが、三大栄養素のうち、糖質は肝臓で「ブドウ糖」(グルコース)を作り、からだを動かしたり、脳を働かせるための必要なエネルギー源になっています。
つまり、血液中には常に一定量のブドウ糖が含まれていて、活動するためのエネルギーはブドウ糖を通して獲得されますが、エネルギーとして使う必要のない余分な糖質は、とりあえずグリコーゲンという別の糖質に変えられたり、または脂質に変換されて、人体に蓄えられます。

人体は必要に応じて膵臓の「ランゲルハンス島」から「インシュリン」というホルモンを出し、それが生体のさまざまな組織におけるブドウ糖を取り込んだり、またブドウ糖を燃焼させて糖利用を促進させ、血液中のブドウ糖である「血糖」(血液中に含まれるグルコース) を減少させる働きをしています。すなわち、血糖が多すぎれば肝臓にこれを摂取させ、グリコーゲンに変えて蓄えることで血糖を下げるとともに、肝臓内のグリコーゲンの分解およびブドウ糖びの放出を抑えてくれます。

インシュリンは生体において重要な働き、作用をしているだけに、これが欠乏すると、人体にとって絶対的な必需品を失うに等しい大痛手となります。

糖尿病とはインシュリンというホルモンの欠如またはその作用不足によって生じる病気ですが、本病は「Ⅰ 型糖尿病」と「Ⅱ型糖尿病」とに分けられます。Ⅰ型糖尿痛患者では、膵臓からインシュリンが出なくなります。したがって、必ずインシュリン注射を必要とするので、これは「インシュリン依存症」。
残りの大多数はⅡ型の糖尿病患者です。型糖尿病はインシュリンがまったく出ないのではなく、必要なだけのインシュリンが出ないとか、インシュリンが正常に働いてくれない状態なので、これは「インシュリン非依存症」です。
Ⅲ型糖尿病は生活習慣病の最も代表的な症例ですが、わが国ではⅢ型糖尿病がものすごい勢いで増加しています。そのほか、糖尿病の予備軍も同様に急増しています。
正常な人と糖尿病のちょうど境目にいる人たちを「境界型糖尿病」と呼んでいますが、このグループが糖尿病患者の約2倍以上もいます。

糖尿病がなにより怖い点は、からだの抵抗力がなくなって、頭のてっぺんから足先まで、あらゆる部位に「合併症」が生じてくることです。
糖尿病の最大の敵は「肥満」ですから、太った人が正しい食事制限をして、標準体重の近くまで減量すれば、糖尿病の状態はずっと改善されます。それにもかかわらず、近年は、肥満が原因で成人病にかかる人が急増するばかりです。
若年層における成人病は、将来の大きな社会問題となることでしょう。小学生がインスリンを打っている姿も珍しいものでなくなってしまった昨今は、異常です。

人が生きていくには、いろんな栄養素を摂取していく必要があるとはいうものの、現代社会では栄養の過剰摂取が主要な原因となって、糖尿病患者を大量発生させているのです。飢えることのない時代だからこそ、栄養過多を避け、日々の食事では豊から質への転換を図り、必要な栄養分だけを摂取することが健康上の大切な心がまえとされます。
なお、ウコンには血糖を直接的に抑制する作用はないようです。ただし、ウコンには脂質を燃焼させて分解する脂質代謝の異化作用があるので、生体に蓄積される脂肪を少なめに抑えることができます。
したがって、脂質の蓄積によって生じる動脈硬化を遅らせる役目とともに、ウコンは糖尿病の抑制に関与しており、二次的な予防に役立っていると言えます。
仮に糖尿病にかかっていたとしても、二次的に起こる脂質代謝での異常をコントロールすることで、その治療に好影響をもたらすことに期待できるでしょう。

肝炎は治る?

Question

肝炎ウイルスに感染した場合、肝硬変から肝臓ガンに移行すると聞いていますが、ウコンに肝炎ウイルスを退治する薬効は期待できるのでしょうか?

Answer

現在、明らかにされている「ウイルス性肝炎」には、A、B、C、D、Eの5種類です。「B型」および「C型」の肝炎ウイルスに感染した場合にのみ、「肝臓ガン」に進行すると見なされています。
世界におけるガンのデータをつぶさに検討してみると、肝臓ガンはB型またはC型の肝炎ウイルスに感染した結果として生じる腫瘍と見なされています。
わが国で問題視されている肝炎ウイルスもまたB型およびC型で、両者ともに血液を介して感染しますし、唾液や精液からも移る可能性があります。
B型およびC型の肝炎は、両者とも慢性化します。「慢性肝炎」では、肝細胞の破壊がそれほど多く起こりませんが、ゆっくりと進行するため、肝機能障害が長く続いて、門脈の周辺や中心静脈が線維で結合される結果、肝臓がしだいに硬化され、やがて「肝硬変」を招いて、その過程で肝臓ガンが発生します。

「A型」はウイルスが水や食物といっしょに口から侵入してくる経口感染で、昔からあった流行性肝炎ですが、わが国では発症数が著しく減少しています。
A型に感染すると、脱力感を感じたり、黄痘が出たりしますが、ほとんどは「急性肝炎」で終わることが大半で、A型肝炎で慢性肝炎から肝臓ガンに至ることはまずありえず、正しい治療をすれば命を失うことはありません。
A型は一度、感染すれば「終生免疫」をつけて、再感染することはありません。急性肝炎の場合、肝細胞に肝炎ウイルスが侵入してくると、生体での免疫機能が働いて、ウイルスを異物として取り除こうとするリンパ球の働きによって、ウイルス感染を受けた肝細胞が破壊されるために肝炎が起こります。

「E型」はA型にも似たウイルスで、北インドやネパール周辺、またゴビ砂漠やモンゴルに見られるタイプで、日本には存在しない型です。ただし、昨今は、国境を容易に越えやすくなっており、国境の不明確なボーダーレス社会と化しているので、日本人がその方面に旅行したとき、まれに感染を受けて、A型肝炎に似た急性肝炎を起こす例があるので、あながち無視もできません。
E型もA型と同じく経口感染です。大便の中にウイルスが排泄されるので、大便に汚染された水さえ飲まなければ、A型やE型に感染することはありません。

「D型」も非常に少ないウイルスで、日本ではわずかしか例がありません。
D型は単独では存在せず、B型と量感染していますが、どのような経路で感染するのかわかっていません。遺伝的に肝臓ガンを懸念する人が、発病以前になんとかこれを予防したいという願いから、着目しているのが生薬のウコンです。
ウコンに発ガンの促進を抑制する薬効があると考えられているからですが、そうした働きがわかってきたのはここ20数年くらいの間です。
したがって、肝臓病患者にウコンを飲ませていけば、肝臓ガンになりにくい体質に改善されるのではないかと期待されているわけです。しかし、ウコンによるガン化抑制の薬効は、まだ完全に証明されている問題ではなく、現段階では可能性を持っているとしか言いようがありません。
とはいうものの、ウコンが有する発ガン促進物質を抑制する働きによって「慢性肝炎1 肝硬変1 肝臓ガン」に進む過程で、ガン化を食い止めることが期待されており、ただいま研究が進められている段階です。

肝臓という臓器は、消化器の働きを誘発するために胆汁を作り出すことをはじめ、必要に応じて、生体に吸収された栄養素を同化したり、貯蔵したり、害になるものを解毒するなど、人体が生命を維持していくうえでの不可欠な、ありとあらゆる生化学処理を営んでいます。
また、ウコンの薬効の一つに、胆汁分泌完進作用がありますが、ウコンのこの働きが肝細胞を活性化させ、さらに肝臓の機能を強化してくれるので、とうぜん肝臓病の治療に対していい結果を招くと考えられています。肝臓は「沈黙の臓器」と言われるとおり、その異変になかなか気のつきにくい一面がありますが、人体の総合化学工場に喩えられる臓器ですから、大切にしなければなりません。