Question
スギの花粉が舞う季節を迎えると、毎年のように鼻水、鼻づまり、目のかゆみといった花粉症に悩まされます。ウコンを服用したら、症状が軽くなるという話をよく聞きますが、花粉症にも有効でしょうか。
Answer
人の体は外界から侵入してくる異物から身を守るため、「自己」と「非自己」とを分ける機能が働きます。これは、自己でないと認識されるものを「抗原」と言い、これらの病原菌や異物が人のからだを侵そうとすると、生体はただちに彼らを殺傷するために「抗体」という蛋白質を作り出します。
抗原の種類は非常に多く、それに対応して生体内では多数の「抗体蛋白質」が作られています。そこで、ある種の抗原性物質をあらかじめ適当な方法で投与しておくと、生体はその抗原物質に対抗するために大量の抗体を作り出す仕組みを整え、抗原が再び侵入してきた場合、その物質の毒性を中和させます。
予防注射はこの「免疫」の原理を利用して作られたものです。ところが、抗原性の物質が投与されたあとであっても、しばらくして同じ抗原が再び侵入してきたとき、免疫反応をそっちのけにして、発疹、発熱、肝傷害などを起こして、重い場合にはショック死にいたるなど、さまざまな病的反応を起こすことがあります。
つまり、こうした過剰反応のことを「アレルギー」と称しています。アレルギーとはすなわち、人体に侵入してきた自分以外の異物を取り除こうとするからだの過剰な防御反応の一種ですが、抗体と抗原が結合して「抗原抗体反応」を起こした状態です。
アレルギー疾患にはいろいろな症状があります。たとえば、何かを食べて「ジンマシン」が出るのも、ぜんそく出るのもアレルギーですし、、「アトピー性皮膚炎」もアレルギーの一種です。「気管支喘息」も以前から一種のアレルギーと見なされています。また、薬による中毒病状を「薬物アレルギー」と言います。
「花粉症」とは、おもにスギの花粉に含まれている物質によるアレルギーで、鼻粘膜にその花粉がくつついてアレルギー反応を起こした症状のことです。
花粉症患者数は増加の一途をたどり、スギ花粉症だけで1500万人以上、日本の花粉症総人口は2000万人以上、5人に1人は花粉症ともいわれ、今後も増加することが予想されています。
では、ウコンがなぜ花粉症に有効かと言うと、アスピリンほど強力ではないにしても、「消炎鎮痛剤」と同じ作用を持っているからです。消炎鎮痛作用とは、いろいろな炎症を止める働きのことですが、そうした働きを持つ生薬を調べていくと、いずれもアレルギー反応による炎症を止める作用を併せ持っていることがわかっており、もちろんウコンにも同じような働きが認められています。
還暦が近くなった年齢の人によくある例ですが、私にも「蓄膿症」という軽い慢性の「副鼻くうえん腔炎」があって、冬に風邪を引いたりすると、鼻の調子がすこぶる悪くなります。ところが、健康食品としてウコンの錠剤を飲みつづけていたら、副鼻腔炎を治療しょうと思って飲んでいたわけでもないのに、なぜ治ったのかわからないけれど、いつのまにか持病の鼻炎が軽くなっていました。
生薬ではこのような予想外の薬効が実際に起こります。ウコンによる消炎作用はともかく、それと同時に、病原性細菌に対しての制菌力と併せて、アレルギー反応を抑える働きを示すので、「アレルギー性鼻炎」が軽くなることがあります。
まさに花粉症対策にウコンを試してみる価値はありそうです。