飲兵衛がかかる病気

脂肪肝 シジミ でどこまで改善きるか

脂肪肝 シジミ

脂肪肝 しじみ がどのように役立つのか 肝臓への効果や作用についてまとめています。お酒を飲む機会が多く、また飲み過ぎてしまう人は、脂肪肝になりやすく、普段の食生活で脂肪肝の症状を悪化させない工夫が必要です。

脂肪肝 しじみ で肝臓の健康を取り戻すために

脂肪肝 シジミ

脂肪肝 シジミ

しじみが肝臓に良いと昔から言われているのは、含まれる「オルニチン」というアミノ酸が、肝機能を助ける働きがあるためです。オルニチンは体内でアンモニアを分解する尿素回路に関わり、肝臓の解毒作用をサポートします。

また、ビタミンB12や鉄分も豊富で、肝細胞の再生や血液の健康にも寄与します。これらの成分が総合的に肝臓をいたわる働きをすることから、古くから「お酒を飲んだ後にはしじみ汁」と言われるようになりました。

脂肪肝は、肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積する状態を指します。放置すると肝炎や肝硬変へ進行する可能性もあるため、早期の対策が重要です。食生活の改善はその第一歩であり、古くから肝臓に良いとされてきた「しじみ」が注目されています。

この記事では、しじみが肝臓に与える影響、脂肪肝の基礎知識、しじみを食生活に取り入れるためのレシピ、サプリメントの選び方、そしてよくある質問について詳しく解説します。

1. しじみが肝臓に与える影響

しじみが肝臓の健康維持に役立つとされる理由は、その豊富な栄養成分にあります。特に以下の成分が肝臓の機能改善に貢献すると考えられています。

1-1. オルニチン

オルニチンはアミノ酸の一種で、しじみに特に豊富に含まれています。肝臓のオルニチン回路において、有害なアンモニアを分解し、無毒な尿素に変換する働きをサポートします。アンモニアは肝臓に負担をかける物質であり、その解毒作用を助けることで、肝臓の疲労回復や機能維持に貢献すると期待されています。

1-2. タウリン

タウリンもまた、しじみに多く含まれるアミノ酸の一種です。肝臓では、タウリンが胆汁酸と結合し、脂肪の消化吸収を助ける胆汁の生成・分泌を促進します。これにより、肝臓への脂肪蓄積を抑える効果や、肝細胞の再生を促す効果も示唆されています。また、抗酸化作用や肝臓の炎症を抑える作用も期待されています。

1-3. メチオニン、シスチンなどのアミノ酸

しじみには、オルニチンやタウリンだけでなく、肝臓の代謝に関わる様々なアミノ酸がバランス良く含まれています。これらのアミノ酸は、肝臓のタンパク質合成や解毒作用に不可欠であり、肝機能全体のサポートに役立ちます。

1-4. ビタミン・ミネラル

しじみは、ビタミンB12、鉄分、亜鉛などのビタミンやミネラルも豊富です。これらは肝臓の様々な酵素反応に関与し、肝臓の正常な機能を維持するために重要な役割を果たします。特にビタミンB12は肝臓の脂質代謝に関与し、鉄分は肝臓の解毒酵素の働きを助けます。

2. 脂肪肝とは?その症状と原因

2-1. 脂肪肝の定義と種類

脂肪肝とは、肝臓の細胞の30%以上に中性脂肪が蓄積した状態を指します。大きく分けて以下の2種類があります。

  • アルコール性脂肪肝: 過度な飲酒が原因で起こる脂肪肝。
  • 非アルコール性脂肪肝(NAFLD): アルコールの摂取量が少なくても発症する脂肪肝。肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病が原因となることが多いです。NAFLDはさらに、肝炎を伴わない単純性脂肪肝と、肝炎を伴う非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に分けられます。NASHは肝硬変や肝がんに進行するリスクがあります。

2-2. 脂肪肝の主な症状

脂肪肝は「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓の病気のため、初期段階では自覚症状がほとんどないことが多いです。しかし、進行すると以下のような症状が現れることがあります。

  • 全身の倦怠感、疲労感:肝臓の機能低下により、エネルギー代謝が悪くなるため。
  • 食欲不振、吐き気:消化器系の症状として現れることがあります。
  • 右わき腹の不快感、張り:肝臓が腫れることで感じることがあります。
  • 黄疸:肝機能が著しく低下すると、皮膚や目の白目が黄色くなることがあります。
  • クモ状血管腫:皮膚に赤いクモの巣状の血管が見られることがあります。

これらの症状が見られる場合は、すでに病気が進行している可能性があるため、速やかに医療機関を受診することが重要です。

2-3. 脂肪肝の主な原因

脂肪肝の主な原因は以下の通りです。

  • 過食・肥満: 消費エネルギーよりも摂取エネルギーが多いと、余分なエネルギーが中性脂肪として肝臓に蓄積されます。特に内臓脂肪型肥満は脂肪肝のリスクを高めます。
  • アルコールの過剰摂取: アルコールは肝臓で分解される際に中性脂肪の合成を促進し、分解を阻害するため、脂肪肝の原因となります。
  • 運動不足: 消費エネルギーが少なくなるため、脂肪の蓄積につながります。
  • 糖尿病: インスリン抵抗性により、脂肪の分解がうまくいかなくなり、肝臓に脂肪が蓄積しやすくなります。
  • 脂質異常症: 血液中の中性脂肪や悪玉コレステロールが増加すると、肝臓にも脂肪が蓄積しやすくなります。
  • 急激なダイエット: 飢餓状態になると肝臓に脂肪が蓄積されやすくなることがあります。
  • 薬の副作用、特定の病気: 一部の薬剤や疾患が脂肪肝を引き起こすこともあります。

3. 脂肪肝改善のためのしじみレシピ

しじみを美味しく摂取し、脂肪肝の改善に役立てるためのレシピをいくつかご紹介します。

3-1. 定番!しじみのお味噌汁

しじみの旨味と栄養を丸ごと摂れる、最も手軽な方法です。

材料(2人分):

  • しじみ 200g
  • だし汁 400ml
  • 味噌 大さじ2〜3
  • 刻みネギ 適量

作り方:

  1. しじみは砂抜きをしておく。
  2. 鍋にだし汁としじみを入れて火にかける。
  3. しじみの口が開いたら、アクを取り除く。
  4. 火を弱め、味噌を溶き入れる。
  5. 器に盛り、刻みネギを散らして完成。

3-2. しじみと野菜の酒蒸し

シンプルながら、しじみの風味が際立つ一品。他の野菜を加えても美味しいです。

材料(2人分):

  • しじみ 200g
  • キャベツ 1/4個
  • ミニトマト 6個
  • 酒 大さじ2
  • バター 10g
  • 塩、こしょう 少々
  • パセリ(みじん切り)適量

作り方:

  1. しじみは砂抜きをしておく。キャベツはざく切り、ミニトマトは半分に切る。
  2. フライパンにしじみ、キャベツ、ミニトマトを入れ、酒を回しかける。
  3. 蓋をして中火で加熱し、しじみの口が開くまで蒸し焼きにする。
  4. 蓋を取り、バター、塩、こしょうで味を調える。
  5. 器に盛り、パセリを散らして完成。

3-3. しじみと豆腐の中華スープ

体を温める効果も期待できる、優しい味わいのスープです。

材料(2人分):

  • しじみ 200g
  • 絹ごし豆腐 1/2丁
  • 卵 1個
  • 長ねぎ 1/4本
  • 鶏ガラスープの素 小さじ1
  • 水 500ml
  • ごま油 小さじ1
  • 塩、こしょう 少々

作り方:

  1. しじみは砂抜きをしておく。豆腐は1.5cm角に切る。長ねぎは斜め薄切りにする。卵は溶きほぐしておく。
  2. 鍋にしじみと水、鶏ガラスープの素を入れて火にかける。
  3. しじみの口が開いたら、豆腐と長ねぎを加える。
  4. 塩、こしょうで味を調え、溶き卵を回し入れる。
  5. 卵がふんわり固まったら火を止め、ごま油を回しかけて完成。

ポイント:

  • しじみは加熱しすぎると硬くなるため、口が開いたらすぐに火を止めましょう。
  • 砂抜きはしっかりと行いましょう(塩水に漬けて暗所に数時間置くのが一般的です)。
  • 旬の時期のしじみは栄養価が高く、美味しくいただけます。

4. しじみサプリメントの選び方と注意点

生しじみを毎日摂取するのが難しい場合、サプリメントも有効な選択肢となります。しかし、様々な種類のサプリメントがあるため、ご自身に合ったものを選ぶことが重要です。

4-1. サプリメント選びのポイント

  • オルニチン・タウリン含有量: 肝機能サポートを目的とする場合、オルニチンやタウリンがどの程度含まれているかを確認しましょう。具体的な含有量が明記されている製品が望ましいです。
  • 品質と安全性: GMP認定工場で製造されているか、品質管理が徹底されているかなどを確認しましょう。無添加や国産の原料を使用しているかもポイントです。
  • 他の成分: ビタミンB群、亜鉛、セレンなど、肝臓の健康をサポートする他の栄養素が配合されているかどうかもチェックしましょう。
  • 形状と飲みやすさ: 錠剤、カプセル、粉末など、様々な形状があります。継続しやすい形状を選びましょう。
  • 価格と継続性: 継続して摂取することが大切なので、無理なく続けられる価格帯の製品を選びましょう。

4-2. サプリメント摂取の注意点

  • 過剰摂取は避ける: 「体に良いから」といって推奨量以上に摂取するのは避けましょう。過剰摂取による健康被害のリスクもゼロではありません。
  • 医薬品との併用: 現在、何らかの医薬品を服用している場合は、必ず医師や薬剤師に相談してから摂取を開始してください。相互作用により、薬の効果が弱まったり、強まったりする可能性があります。
  • 食生活の基本: サプリメントはあくまで補助食品です。バランスの取れた食事や適度な運動など、基本的な生活習慣の改善が最も重要であることを忘れないでください。
  • アレルギー: しじみやその他の成分にアレルギーがある場合は摂取を控えましょう。

5. 脂肪肝に関するQ&A

Q1: 脂肪肝は治りますか?

A1: はい、早期の脂肪肝であれば、食生活の改善や運動習慣の導入によって改善することが期待できます。特にアルコール性脂肪肝の場合は禁酒、非アルコール性脂肪肝の場合は肥満解消や生活習慣病の管理が重要です。しかし、NASHに進行している場合は治療がより複雑になるため、専門医の指導を受けることが不可欠です。

Q2: 脂肪肝の人はどのような食生活を心がければ良いですか?

  • 高タンパク・低脂質: 鶏むね肉、魚、豆腐などの良質なタンパク質を積極的に摂りましょう。脂質の多い肉や加工食品は控えめに。
  • 食物繊維を豊富に: 野菜、きのこ、海藻、全粒穀物など、食物繊維の多い食品は、血糖値の急上昇を抑え、満腹感を持続させる効果があります。
  • 糖質の制限: 菓子パン、清涼飲料水、果糖の多い食品など、糖質の過剰摂取は肝臓での中性脂肪合成を促進します。白米も適量にし、玄米や雑穀米に替えるのも良いでしょう。
  • アルコールの制限: アルコールは肝臓に大きな負担をかけます。アルコール性脂肪肝の場合は禁酒、非アルコール性脂肪肝の場合も摂取量を控えめにしましょう。
  • バランスの取れた食事: 特定の食品に偏らず、様々な食材をバランス良く摂取することが大切です。

Q3: しじみは毎日食べても大丈夫ですか?

A3: はい、通常は毎日食べても問題ありません。しじみは栄養価が高く、肝臓に良いとされる成分が豊富に含まれています。ただし、どんな食品でも過剰摂取は良くありません。バランスの取れた食事の一部として、適量を継続的に摂取することが推奨されます。アレルギーがある場合は摂取を控えてください。

Q4: しじみ以外に肝臓に良いとされる食品はありますか?

A4: はい、しじみ以外にも肝臓の健康をサポートする食品はたくさんあります。

  • ブロッコリー、キャベツなどのアブラナ科野菜: 解毒作用を助ける成分が含まれています。
  • 魚(特に青魚): EPAやDHAなどのn-3系脂肪酸が豊富で、中性脂肪を減らす効果が期待できます。
  • 大豆製品(豆腐、納豆など): 良質なタンパク源であり、肝臓の再生や代謝を助けます。
  • きのこ類、海藻類: 食物繊維が豊富で、腸内環境を整え、肝臓への負担を減らします。
  • コーヒー: 肝臓病のリスクを低下させる可能性が示唆されていますが、飲みすぎは胃腸に負担をかけることもあるので適量を。

まとめ

脂肪肝は、生活習慣を見直すことで改善が期待できる病気です。特に、しじみに含まれるオルニチンやタウリンは、肝臓の解毒作用や代謝をサポートし、脂肪肝の改善に寄与すると考えられています。

しかし、しじみやサプリメントだけに頼るのではなく、バランスの取れた食事、適度な運動、そして必要に応じて医療機関での適切な診断と指導を受けることが、肝臓の健康を取り戻すための最も重要なステップです。これらの情報を参考に、ご自身の肝臓の健康を守るための第一歩を踏み出しましょう。

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アルコール性肝障害 アルコール依存症 で引き起こされる

アルコール性肝障害 アルコール依存症

アルコール性肝障害 アルコール依存症 で引き起こされる代表的な病気です。「正常値」と称されるものにはかなり個人差があります。しかも時々刻々と変化します。そこで、その人その人の値が正常か異常かを正確に判定するためには、ある一定期間の観察が必要です。一時の数値だけで一喜一憂することは避けなければいけません。アルコール依存症が引き金となって病気になる代表的なものを紹介します。

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さてウィルス性のものや、ほかの病気によるものを除外して、明らかにアルコールによってもたらされることがたしかめられた肝臓病のことを、肝臓専門医たちは「アルコール性肝障害」と呼び、つぎの6つのグループに分類します。

1.アルコール性脂肪肝

肝臓(肝小葉という部分)に異常に多量の脂肪が蓄積した病態。ことに中性脂肪がたまった慢性脂肪肝であることが多い。肝臓がアルコールの処理に追われて処理できなかった脂肪や、つまみなどでとった脂肪などがたまりにたまって、肝臓がギブアップしかかった状態。

飲兵衛本人には、からだのだるさを訴える以外には自覚症状はないか、あっても食欲不振、まれに吐き気がある程度。

ただし、胃潰瘍や膵炎、糖尿病などの合併症のある人では、症状はこのかぎりではない。

この病態になる人たちは「常習飲酒家」以上とされている。常習飲酒家とは日本酒換算で1日3合以上、少なくとも5年間飲みつづけている人たちのことになる。

なお、アルコール性脂肪肝と診断したときに、医者がおこなう治療とは「禁酒+ 高蛋白食」。
禁酒をすれば4週間ほどでトランスアミナーゼ活性値(GOT・GPT)は低下します。また、たいていの脂肪肝は7~8週間で治ります。

2.アルコール性肝炎

飲兵衛が慢性的にヤケ飲みしたり、何日も集中飲みをしたときに多くでる病態。さすがの肝臓も破壊され(免疫反応に異常をきたす)脂肪肝にくらべると訴える症状はもっとつよくなる。強度の食欲不振、悪心・嘔吐、下痢、上腹部の痛み、ときには黄疸や、肝臓肥大、発熱などをともなうことがある。

飲兵衛がこの病態を疑って医者を訪れるのは、大酒を飲んで突然、黄疸がでてあわてふためいて、というケースが多いかもしれません。
やはりアルコール性脂肪肝とおなじように、常習飲酒家がなることがほとんどです。
また、この状態にある大酒家では、むりに禁酒すると1日ないし3日のちにうわ言や発汗、頻脈などの禁断症状がでることもあります。

くわえて、この状態を放置したままでいると肝硬変にすすむケースも少なくないのです。この場合、医者がおこなうのは「禁酒+安静+高蛋白食」です。
あまり栄養状態のよくない人たちには、さらに高カロリーの輸液や、高ビタミン食、貧血改善のためのアルブミン輸血などが加わります。

3.アルコール性肝硬変

肝硬変とは、いうなれば慢性肝臓病の「終着駅」とも言えます。現状の医学ではまだ肝硬変そのものをなおすことはできないのです。

日本人の場合、そのほとんどは肝炎ウィルスの悪さによっておこるのですが、なかには明らかにアルコールが原因のものもあります。これがアルコール性肝硬変です。指標となるのは、「肝硬変量」=160g×20です。
くり返すまでもなく、日本酒6合以上(アルコール160g) を20年間飲みつづけた人は肝硬変になるという「悪魔の計算」のことです。

肝硬変では、ほかのアルコール性肝障害同様の症状、つまりからだのだるさや食欲の低下、悪心・嘔吐、腹痛や腹部の不快感などにくわえて、体重が減少するのも特徴です。
そのほか、微熱がつづく、黄疸の出現、手のひらが赤くなる、からだの随所にくもの巣のような赤いすじがでる、乳房の女性化、毛髪の減退、睾丸が萎縮し、このためインポ化が進行するなどの徴候が見られます。

しかし、肝硬変は「沈黙の臓器」におこる病変です。これといった自覚症状がなくて、定期検診などのときにはじめて発見されるケースも多いので、要注意です。

なりやすいのは「大酒家」です。大酒家とは、5合以上少なくとも10年以上飲みつづけているか、もしくはもっと短期間でも同じ量を飲んだとみなされる人のことです。

いうまでもなく、この病気になるのは男性のほうが圧倒的に多いのですが、女性の場合はもっと飲酒量が少ない段階から起きます。

美空ひばりは慢性肝炎がこうじての肝硬変で死亡しました。歌の女王にとってのアルコールは、真実「悲しい酒」だったのです。この病気の有効な治療法はまだありませんが、禁酒した人たちでの5年生存率は63~70%% と、禁酒できなかった人たち(34〜44%) より高いとの報告があります。

4.アルコール性肝線維症

あまり耳にしないのですが、これは肝臓の細胞や血管などに「線維化」といって、蛋白の一種であるコラーゲンが沈着する特有の症状がすすんだ病態のことです。
なぜ、このような状態がおこるのかは明らかではないのですが、しかし、まだ肝硬変ほどには肝臓がダメージを受けてないので、しいていえば、脂肪肝と肝炎の中間ともいえる要注意段階の状態です。というわけで、症状も1と3の中間程度ということになります。常習飲酒家の多くが疑われます。

5.常習飲酒家の慢性肝炎

現状では、日本人の慢性肝炎の大半は肝炎ウィルスによっておきています。したがって、この慢性肝炎のなかで、肝炎ウィルス検査陰性、輸血歴なしなど、明らかに飲酒が原因であると特定できるものをさすことになります。

症状は先のアルコール性肝炎とかわりません。しかし、ウィルス性肝炎のうちC型ウィルスが見つかったのはつい最近のこと、「常習飲酒家の慢性肝炎」と診断を受けている人のなかには、実際には見落とされたC型肝炎であることも少なくありません。
なりやすいのは常習飲酒家です。C型肝炎以外なら、禁酒すればいちじるしく改善される点が救いです。

とはいえ、このところウイルス性肝炎の研究は日進月歩であり、肝炎ウィルスが駆逐されれば、やがてはこの慢性肝炎という病気そのものが、欧米なみに、おもにアルコール性のものをさす時代になること( ちなみにアメリカ人では全肝炎中のアルコール性肝炎は62%) も予測されています。
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6.非特異的変化

「非特異的」ということばは「特異的でない」ことを意味する用語でですが、「一般的」という意味ではありません。ひとくちにいえば、共通項となる特徴がないということで、常習飲酒家に肝機能検査をおこなったとき、異常は認められるものの、まだ肝臓そのものは正常、ないしはこれといった悪い徴候が認められない状態のことです。
いうなればアルコール性肝障害の「予備軍」といったところです。

この6つの群のなかで飲兵衛にもっとも多いのは、いやな話ですが、3の肝硬変です。ついで2のアルコール性肝炎です。

見かたをかえれば、自覚症状のでないときは病院へは行きたがらない人たちがいかに多いかという証拠でもあります。ちなみに、肝臓専門医たちによると、発生頻度は、その他の群をそれぞれ1としたとき、7肝硬変4.5、アルコール性肝炎1.5~1.7程度ということになります。つまり100人ほどの、かつては酒豪をもって任じたアル中患者が、ひとつの病院の内科病棟に入院したとすれば、その内訳は肝硬変が45人、アルコール性肝炎が15~16人、あとの40は10人ずつその他の病気だという勘定となります。

酒の害は最終的には頭にくる

酒を飲みすぎてでる害は肝臓だけではありません。悲しい酒で死んだ美空ひばりも、死ぬときには大腿骨骨頭壊死という病気を併発していました。

これは骨が軟らかくなって生じる病態で、飲みつづけた人たちの骨に比較的でることの多い病変のひとつでもあります。酒を飲んだとき敏感に反応を示す臓器には、膵臓にくわえて、目が衰えてくる「アルコール性弱視」、骨髄機能が衰える「貧血」、筋肉がやられれば「アルコール性筋炎」、しびれ・痛みのひどくなる「アルコール性神経炎」などもでます。

女性の場合、月経不順、妊婦では奇形児を出産するケースなどもなくはないのです。飲兵衛に限らず、大量のアルコールを短時間に体内に入れれば人は死亡します。
血中濃度でいうと400mg/ 100mlを超えた段階で、いわゆる「急性アルコール中毒」の末期です。

これはアルコールの麻酔作用が神経系の中枢部におよぶためのものです。このような、アルコールが神経系に影響をおよぽして悪さをする作用を、専門家は5つに大別しています。

その第-は、とったアルコールがその場でもろに作用する「急性アルコール中毒」。でる症状はおもに酩酊( 一過性の意識障害)ですが、医者のいう「異常酩酊」は、ことばのもつれ、運動感覚の失調などで、はなはだしい場合は、突然の興奮状態から急速な睡眠ないしは昏睡にいたります。
ふだん飲酒癖のある人たちではあまり見られないのですが、自分の酒量の閾値をい知らず一気飲みにはしる若者たちに多いのが特徴です。
第2は「アルコール離断症候群」です。いわゆる「禁断症状」のでる人たちであって、長期間飲みつづけた身体的精神的依存による症状の総称でもあります。
なお「症候群」というのは、あらわれる主要症状が特定のものに限定できない病気のことである。

アルコールの禁断症状がでたときには振戦(体や手がぶるぶるふるえること)、幻覚、錯覚、発熱、発汗、散瞳、その他、おもに自律神経の異常に伴う各種の症状があわれます。

第3はビタミン( おもにB1=チアミン)不足( チアミン欠乏症)や、低栄養などの障害にともなってでる「神経障害」です。

まず、かるい意識障害がでます。ついで目玉のうごきに支障をきたします。目玉が勝手にうごけば当然うまく歩けません。したがって、酔っていないときでも千鳥足となります。このような状態のことを「ウェルニッケ脳症」といいます。

そこに記憶障害がくわわれば「コルサコフ症候群」というボケ同然の症状になります。さらに、下肢が麻痺して思うようにうごかせない「アルコール性小脳変性症」や、ニコチン酸欠乏による「ペラグラ脳症」などと診断される人も少なくありません。

ちなみに、あたまの左側の側頭葉上部にある「ウェルニッケ」領域が侵された人は、一例をあげればこんな感じです。
ある程度ボケた人でも「おたくの犬は卵を産みますか」などと聞かれれば、たいていの人なら「いいえ」とこたえるでしょうが、ウェルニッケ領域が侵された人だと「うてに、てのほうには、きゅうにあいてないですけれどね」などとアサッテをむいた応答がかえってくるのです。言語中枢をやられる怖さのひとつがこれです。

「アルコール性弱視」や、「末梢ニューロパチー」などというアルコール性の末梢神経障害もはいります。後者の場合には、下肢の異常感、皮膚表面がビリビリする異常感覚(知覚異常)、筋力の低下、発汗過多などがあります。
尿失禁(垂れながし)なども神経障害からくるものです。

第4は、いまのところまだ原因のよくわからない病気の仲間で、とにかく大酒家に多いボケ症状をくくったものです。たとえば、外国ではイタリアのブドウ洒多飲者に多いとされる「マルキャファーバ・ビギャミ病」という病気が知られています。

「アルコール性痴呆」や「脳萎縮症」など、日本人にみられる一連のボケ症もこのグループにはいるのですが、不幸にしてなった人には、記憶力や判断力の喪失だけにとどまらず、意識障害や手足のマヒなども伴います。神経系がやられると筋力も低下してくる。そこで「アルコール性ミオパチー」という病気も生じる。これはアル中者が大量に酒を飲んだとき、突然からだの筋肉が痛みだしたり(こむらがえりをおこしたりもする)、暗赤褐色の尿がでたりする症状である。また、筋肉に力がはいらない筋脱力症や、急性腎不全になることもある。第五は、アルコール性肝硬変にともなう「肝性脳症」です。振戦、筋肉の突っ張り、意識障害の反復と、症状はいろいろです。

神経系がやられれば気も滅入ってきます。病態がボケにまですすめば当人はそのツラさを忘れもしようが、その一歩手前まではたいていの人たちが悩んで孤独の淵にしずみます。死にたくもなるでしょう。

そこで、自殺者統計に「アルコール症+精神障害」と込みでくくってしまわれるという結果ともなるわけです。
くり返しますが、この「アルコール症+精神障害」によって自殺する男の総数は年間に1万3千余人です。
自殺者全体のおよそ6% を占めて、病苦原因でいのちを断つかたがたにつぐ比率なのです。

酒の害を列挙していくと、まさに悪酔いのきわみとなります。飲兵衛にして、かつ健康な毎日を過ごすためには、決まりきった話ですが、予防が一番となります。つまり、いかに姑息的といわれようとも、マメに検査を受けて異常や障害の自覚の少ない段階で対処するのが最も賢い態度ということになります。といって、異常や障害の自覚のないのに、定期の健康診断など気が進まないものですが、ここはがまんの正念場と、逃げずに所定の「検査だけは年に1度の儀式」としてすます習慣をつけたいものです。

前にも示したように、肝機能が正常でさえあれば、飲兵衛とてほんの2週間もアルコールを断ちさえすれば、検査時のガンγ-GTP値は正常値にもどるのです。まあ我慢をすればγ(ガンマ)は下がると、意思を強固にしましょう。
γ-GTPがシジミで正常値に回復