二日酔いの予防と対策にウコン

ウコンは胆汁の分泌を促進する

二日酔いで調子が悪い時、翌朝はたっぷり水分補給し、アルコールを排出しましょう。飲みものは、肝臓の働きを高めるグレープフルーツジュースやしじみ汁がおすすめです。

二日酔いを確実に予防する方法は飲み過ぎないことですが、酒の席ではおつき合いで勧められてしまったり、そのうちに気分が良くなったりと、飲み始めるとそれが難しくなってしまうものです。そこで、二日酔いを予防する、あるいは早く解消するための方法のひとつに、肝機能を助けるサプリメントを摂取する手段があります。
肝臓の機能を助ける成分はいろいろありますが、これらのサプリメントを上手に利用しましょう。

二日酔いに効果的なサプリメントのひとつにウコンがあります。ウコンの注目すべき有効成分は『クルクミン』です。
クルクミンは、胆汁の分泌を促進する働きがあり、肝機能を強化できるので普段から摂取しておきたい成分です。また、肝臓の機能を助けてアルコールの分解を促進するので、二日酔いのときに摂りたい成分でもあります。

胆汁には、悪酔いを引き起こす物質アセトアルデヒドを排出する作用があるといわれています。アセトアルデヒドは、吐き気を起こしたり、呼吸数を増やしたりなど、アルコールよりも強い生体反応を起こす有害物質なのです。
ウコンの主成分である黄色色素のクルクミンは、胆汁の分泌を促して、肝臓全体の解毒作用を高めるといわれています。また、ウコンに含まれている精油成分にも、クルクミンよりは弱いけれど胆汁の分泌を活発にするという物質が含まれています。さらに、精油成分にはコレステロール溶解作用や健胃作用などがあります。

活性酸素を除去するクルクミン

過度の飲酒は体内に活性酸素を発生させるといわれていますが、クルクミンは体内で強い抗酸化力をもつ「テトラヒドロクルクミン」に変換されて、活性酸素を除去する効果もあることがわかっています。活性酸素を除去したあとには「ジヒドロフェルラ酸」という安全な化合物になって代謝されます。

ウコンエキスドリンク『ウコンの力』を発売しているハウス食品が何年か前に発表した研究結果では、ウコンを摂取するとアルコールやアセトアルデヒドの代謝が促進されることが示されています。
アルコールとウコンを摂取した実験では、ウコンを摂取しなかった時と比べ、血液中のアルコールとアセトアルデヒドの濃度、そして活性酸素の濃度が下がった結果が得られています。これらの効果は、ウコンに含まれるクルクミンや精油成分がもつ抗酸化作用や胆汁分泌作用などによるものと考えられています。

肝臓の疲れにはこちらのウコン

二日酔いのしくみ

アルコールは肝臓で分解され、アセトアルデヒド→酢酸→水・炭酸ガスに変化していきます。分解にかかる時間は体重や体質によっても異なりますが、アルコール10cc分(日本酒換算で3合)を処理するのにおよそ9時間かかります。飲む量が多く、しかも飲み終わる時間が遅ければ、体内に翌日もアルコールが残った状態が続き、これによって起こるのが二日酔いだといわれています。

二日酔いは、アセトアルデヒドなどの毒性、アルコールの脱水作用、エネルギーの不足、体液の酸性化、低血糖などいろいろなことが複合して引き起こされます。主な症状としては、頭痛や吐き気、めまい、体のだるさがあらわれます。

激しい頭痛は、アルコールの脱水作用によって脳の細胞に含まれている水分が減り血管が縮むために起こります。また、肝臓の処理機能を超えてしまったアルコールの摂取により、処理できなかったアルコールや有害なアセトアルデヒドが血液中に入り体内を巡るのも、頭痛や吐き気の原因です。大量のアルコールの摂取により肝臓が分解に一生懸命になると、低血糖の状態になります。ビタミンB1が大量に使われてビタミン不足にもなります。低血糖を補うためには肝臓や筋肉からグリコーゲンが使われ、体内のアミノ酸も減少します。体内の水分が減りナトリウムやカリウムの濃度が高くなって、全身が脱水状態になっています。筋肉の収縮や血圧の調整をするカルシウム、マグネシウムが不足するので、脱力感もあります。脱水状態は水分を補給することで回復させましょう。

二日酔いを防ぐには、翌日まで体内にアルコールが残らない飲み方をしましょう。例えば、朝6時に起きる人の場合だと、9時間前にあたる前日の夜9時までに3合以下の日本酒を飲むようにすればいいです。ただし、個人差があるので、これでも二日酔いになる人もいるかもしれません。そういう人は、酒量をもっと減らしたり、飲み終わる時間を早くしたり、自分で調節してみましょう。

アルコールの処理能力

アルコールは肝臓で分解される

お酒を飲んだ時、体に入ってきたアルコールはどのように処理されているのでしょうか?
体内に入ったアルコールは、まず胃と小腸で吸収されます。そして、血液中に入ったアルコールは肝臓に運ばれていきます。アルコールは肝臓に入ると、『アセトアルデヒド』という有害な物質に分解されます。アセトアルデヒドは、さらにアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の働きで酢酸に分解されて、最後は水と炭酸ガスになって体外に排泄されます。

血液中のアルコールは肝臓で処理されていきますが、アルコールの処理能力は、飲む人の体の大きさやその日の健康状態など、かなり個人差があります。体重60kgの人が1時間で処理できるアルコール量は6.5gほどといわれています。これは、だいたい日本酒で0.3合、ビールで1/3本、ウイスキーダブルで1/3杯に相当します。だから、日本酒1合、ビール1本、ウイスキーダブル1杯のアルコールを処理するのには約3時間かかることになります。

お酒が強い人、弱い人?

このアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の働きには個人差があって、日本人の4割くらいの人は、その働きが弱いといわれています。そのために有害物質アセトアルデヒドが分解されにくく、アルコールを飲むと顔が赤くなったり、頻脈になったり、頭が痛くなったりと不快な症状が起こる人がいるのです。このように不快な症状があらわれる人は、体が受け付けないので、それ以上お酒を飲むことができません。しかし、ALDHの働きが活発なアルコールに強い人だと不快な症状があらわれないので、つい、どんどん飲酒量が増えてしまいます。ALDHはその間もアセトアルデヒドを分解するために一生懸命働いているので、肝臓が酷使され、疲れきってしまうのです。

ALDHには、アセトアルデヒドが高濃度にならないと働かないALDH1と、低濃度でも働くALDH2があります。このALDH2を多く持っているかどうかで、お酒に強いか弱いかが決まります。これは遺伝的なものなので、お酒に強い人、弱い人というのは、生まれつき持った体質ということになります。

お酒に強い人ほど飲み過ぎに注意しよう!

肝臓には、アルコールの分解のほかにも、栄養素の代謝、消化酵素・ホルモンの製造などといった、体の健康を維持するための重要な働きがありますので、アルコールの分解だけにかかわっていると、ほかの重要な働きに影響を及ぼします。

長い期間に渡ってお酒を飲みすぎていると、中性脂肪が増え、脂肪肝のリスクが高くなります。また、肝臓への負担が肝繊維症やアルコール性肝炎、さらに肝硬変、肝ガンを引き起こすこともあります。また膵臓(すいぞう)への影響もあります。急性膵炎は肝臓の強い人がお酒を飲みすぎることによって起こることもあり、糖尿病と合併することの多い慢性膵炎では患者の50%以上がアルコール性だといわれています。