ウコンは、ショウガやワサビの代用になるか?

Questions

生魚のたたきや刺身などの生魚を食べるとき、ショウガやワサビの代用として、すりおろしたウコンを使うと胃のためにいいと聞きましたが、本当でしょうか。

Answer

味はともかくとして、生魚のたたきや刺身に添えて使えば「病原性ブドウ球菌」に対して殺菌作用が働いて間違いなく効果があるでしょう。
日本人は古くから毒消しと称して、ワサビやショウガをその日的で使ってきましたが、薬味を用いて特定の細菌(バクテリア)を殺菌してしまおうという知恵は、明らかに毒消しの一手段と見ていいでしょう。
なお、昔の毒消しには、少なくとも二つの意味があって、ある種の細菌を殺傷する目的のほか、寄生虫の駆除も行なっていました。
たとえば、梅干しにはある種の寄生虫を駆除する作用で烏梅(青梅を干したもの)がありますが、まさしく駆虫剤で、いうなれば「虫下し」にほかなりません。寄生虫を殺したり、病原性の細菌に対して生育阻害を持つ生薬をひつくるめて、虫下しとか毒消しと表現したのだと思います。

南アジア近辺では水質が悪くて、かつ雑菌類が多く含まれているために、インドやバングラデッシュなどではウコンを食中毒の予防に使う民間医療が伝承されています。
旅先ではどんな水を飲むかわからないし、食べなれないものを口にするので、病原菌の発育阻害をするため、すりおろしたウコンを食べ物に混ぜて食中毒を防ぐ習慣が古くから行なわれてきました。
なお、ウコンで着色された「たくあん」には、細菌が繁殖しませんし、殺菌力が働いて長期保存が利きますが、人工染料を使った「たくあん」では虫が付いたり腐ったりすることがあります。
また、昨今人気のある発酵食品の朝鮮漬けのキムチは、乳酸菌の宝庫ですが、整腸剤のビオフェルミンはその乳酸菌を精製したものです。
つまり、腸内で乳酸菌が繁殖すると、他の細菌が繁殖できなくなるわけで、乳酸菌が腸の中にしっかりあれば、病原菌が入ってきても、乳酸菌が生育阻害に働いて菌への感染を防いでくれるわけです。「たくあん」やキムチなどの滅菌食品は、人々の長い経験から生まれてきた生活の知恵です。

O-157に効果はあるか?

Question

腸管出血性大腸菌「O-157」の予防として、お茶や納豆に薬効があるという説があります。医学的にそういった効能・効果は、確認されているのでしょうか?もしそうなら、生薬のウコンやガジュツにも大腸菌を殺菌する薬効が期待できませんか。

Answer

生薬の特徴の1つは、「ブドウ球菌」をはじめ、菌型のいかんを問わず「病原性大腸菌」の生育抑制に働きを示すことです。しかし、実際にこれらに対して成長阻害作用を持つことがはっきり証明されている生薬はほとんどなく、いまのところ「O-157」に対して有効性が期待されるのはウコンかガジュツしか見当たりません。

ウコンではとくに、ブドウ球菌やO-157などの病原性大腸菌を抑える作用のあることが実験的に確かめられています。人の大腸にはわかっているだけでも約百種類、数にして百兆の細菌が生息していると言われます。大腸菌は腸内細菌の一つで、長さが二2~4ミクロン(1ミクロンは1000分の1mmで、1000倍に引き伸ばすと1mmの長さに見える)の短梓菌で、運動性を持っています。大腸菌には食物の残りかすを分解するほか、ある種のビタミンを作る働きがあり、通常は病原性を示しませんが、一部には「大腸炎」や「尿路感染症」を引き起こす病原性大腸菌もいます。病原性大腸菌は詳しく研究されていて、「腸管病原性大腸菌」「腸管毒素性大腸菌」「腸管浸襲性大腸菌」「腸管出血性大腸菌」「腸管付着性大腸菌」の五種類に大別されますが、近年話題になっている大腸菌O-157は腸管出血性大腸菌の一種です。また、抗生物質を多用してきた結果、院内感染を引き起こして社会問題化している「MRSA」(メリシン耐性黄色ブドウ球菌)にもウコンは効力を発揮し、O-157に対するのと同じような効きめを示すと考えられます。

ウコンには副作用がない

厳密にいえばどんな薬にも副作用は考えられます。たとえば副作用がないとされてきた漢方薬の代表薬、「小柴胡湯」に副作用があったということが新聞に大きく取り上げられたことがありました。

しかしよくよく調べてみると、副作用を起こしたのは、慢性肝炎患者にたいし医療用として処方されたものだけで、一般用に市販されている「小柴胡湯」の処方からは1件の副作用も報告されていませんでした。
肝炎などに処方されるインターフェロンの場合はどうでしょう。500人に1人の割合で顕著な副作用がみられるということですが、メディアでとりあげられるようなことはありません。小柴胡湯」の場合、25000人に1人出てしまった副作用を、果たして副作用というのかどうかという問題が残ったニュースでした。

現代医学の世界でも、

  1. 毒性(副作用) がない
  2. 作用が特定の臓器に限定されない。
  3. 正常化作用をもつ

前記の条件を満たすものでる以上の薬を、アダプトゲンと称していますが、「ウコン」も上記の3条件を満たしているアダプトゲンです。

漢方薬と生薬の違いは、漢方薬とは「いくつかの生薬を組み合わせてひとつの処方としたもの」で、一定の治療体系の中で使われる薬です。次に生薬についてですが、まず医学的な定義をいえば、前述したように「天然界から得られる粗薬物」ということです。動物、鉱物、植物の三者を含んでいますが圧倒的に植物が多く、さまざまな加工をしたり、あるいはそのまま乾燥させて利用することがほとんどです。
天然物なので保存が難しいところもあり、そういう意味からいえば「生きている薬」、また、これを母体としていろいろな医薬品をつくりだしたりするので「薬を生む」とも解釈されています。

明治初年、欧米の文化がどっと日本に入ると同時に医学も西洋医学がメインになり、それまでの漢方を中心とする東洋医学が、古くさい非科学的なものとして締め出されてしまいました。それ以来、生薬を用いる治療法はいんちき臭いものとして、昭和の時代まで日陰の道を歩くことになりました。しかし現在、合成医薬品の薬害問題がクローズアップされるにつれて、生薬による治療法が見直されるようになり、いまでは、210の処方にかぎり、保険診療に入るまでになっています。

現代医学の世界で確認された薬の条件

  1. 毒性(副作用) がない
  2. 作用が特定の臓器に限定されない。
  3. 正常化作用をもつ

に合致する性質を備えたウコンは、他の薬品の効果を助けることはあっても、障害となることはないすぐれた健康補助食品といえます。
ウコンを試してみたいと思ったときに副作用がないことはとにかく安心です。