ウコンに含まれるセルロースについて

Question

ウコンの成分表には「セルロース」という成分が示されていますが、これが人体での消化・吸収の際にどのような作用をするのでしょうか?

Answer

「セルロース」とは植物に多量に存在している糖質の一種で、いわゆる植物細胞の表面を構成している繊維質のことで、「食物繊維」と
よく似ています。
牛は草を食べて繊維成分を自分の栄養にできる分解酵素を持っていますが、牛と違って、人にはセルロースを消化する酵素がないため、繊維類を食べても分解できずに、そのまま胃腸を素通りしてしまいます。食物繊維の摂取により、便のかさが増すというのは、こういった理由からです。
したがって、セルロースは人体のエネルギー源として役立たない成分と考えられていました。ところが、セルロースが大腸の運動を促進する役割を果たしていることがわかり、さらに繊維質がいろんな物質を吸着して体外に運び出して胃腸の掃除を行なってくれることが明らかになったため、たとえ栄養分として吸収されなくても、人体には不可欠な要素であるとして高く評価されるようになっています。

また、大腸においては、腸内細菌の働きによってセルロースの一部が分解され、これが低分子の有機酸ヒ炭酸ガスとに変化して、腸内の有害な細菌の繁殖を防ぐ働きを示していることがわかって、食物繊維はその点でも再評価されるようになりました。
要するに、食物繊維が腸内に多量に入ってくると、かさが増えて、有害な物質の発生を抑えたり、それらを吸着して排出してくれるため、成人病の発生を防ぐことにもつながります。便秘解消は、ガンをも抑制するとても大事な生活習慣であることがわかります。
最近の日本人は、大腸ガンが急増していますが、このうち便秘が原因になっている患者が多数を占めるという専門家もいます。

活性酸素を除去できるか?

Question

ウコンには、活性酸素を除去する作用があると聞きましたが、本当でしょうか?

Answer

生体が活発に動いて活動しているとき、人体では「活性酸素」(フリー・ラジカル) が急増しています。活性酸素とは、物質を酸化させる力が異常に強い酸素分子のことで、人体ではほどほどに必要とされているものの、過剰に生じると悪い方向に向かいます。
年齢が若いうちは、少々の活性酸素が出てきたところで、生体がただちにそれを消去する「抗酸化作用」を発揮してくれますが、年齢が高くなると、活性酸素をうまく処理できなくなります。
成人病や老化の原因につながる物質として活性酸素は敬遠されがちです。
慢性のリューマチや、喘息にかかったときなど、活性酸素が盛んに出てきて、生体を阻害する因子として作配している、という報告もなされています。
胃腸疾患の例では、活性酸素が出て胃腸の粘膜を損傷しているという説もあり、「胃炎」で苦しんだり、また「胃潰瘍」ができるのは、活性酸素が多量に出ているからではないかと疑われています。活性酸素が万病のもとになっている…と警告する専門家も増えています。
活性酸素はまた、細胞中の遺伝子(DNA)を傷つけることとが確認されています。

遺伝子が傷つくと、細胞を複製する段階でエラーが生じて、正常な細胞が作れなくなりますが、それがガンの発生につながる原因の一つと考えられており、活性酸素を消去すればガンの予防につながると考えれています。
活性酸素はまた、代謝作用に欠かすことのできない酵素を破壊して、その機能を失わせてしまう厄介物と見なす学説もあります。
酵素は、人体にとって欠かすことのできないもので血管内で生じる活性酸素を取り除くことさえできれば、動脈硬化の予防につながり、老化を防止できると言われます。

なお、活性酸素を除去する栄養素としては、「ビタミンE」や「ビタミンC」が有力視されていますが、ある種の生薬にも活性酸素を除去する成分が含まれていると言われ、ウコンではおもに精油成分が抗酸化作用に働きを示すと考えられています。
ビタミンEは、生体に有害な過酸化脂質の生成を防ぐと同時に、細胞膜の大切な構成成分になっているリン脂質から作り出される「プロスタグランジン」という物質を生成する手助けもしています。プロスタグランジンは、血管拡張作用を持ち、かつ「高血圧症」の予防に役立ち、動脈硬化を防ぐ効果があります。
また、ビタミンEの吸収を高めるのに、ビタミンCが関与していることがわかっており、ビタミンE とCは、常に連携しながら、動脈硬化や高血圧を防いで、人体の若々しさを保つことに働いています。

ウコンの活性酸素除去に関する作用としては、ビタミンE」や「ビタミンC」のように直接的に作用していなくても二次的に効果があるのではないかと考えれています。

ガン予防効果

Question

ウコンのガン予防効果をあちこちで目にしたり、耳にしたりしますが、実際ガンへの効果、作用はどうなのでしょうか?

Answer

ガンについては、さまざまな医学的見解、民間療法的見解がありますが、基本的にガンが誘発される原因として、一説に「発ガン二段階説」という説があります。
ガンのできる過程では、第一段階でガン化のきっかけになる「発ガン・イニシエーター」(発ガン開始要素) があり、第二段階ではガン化を促す「発ガン・プロモーター」(発ガン促進要素) が作用すると考えられています。
発ガン・イニシエーターとは、細胞がガン化に向かうような遺伝子の変成を起こさせるものです。そして、発ガン・プロモーターとは、発ガンの開始を受けた細胞をガンにまで発展させていくものです。

タバコは発ガン・プロモーターとなる物質を多く含みますが、先天的に肺ガンになりやすい体質であっても、タバコを吸わなけ
れば、発ガン・プロモーターの後押しがないためにガンにはなりにくいのです。

また、先天的にガン化の変性を受けていない細胞に対しては、多量の発ガン・プロモーターが加わったとしても、なかなかガンにはなりません。お尻からも煙が出るんではないかというほどたくさんのタバコを吸うヘビースモーカーであっても、肺ガンにならない体質の人はいくらでもいます。

全ての人がガンになんかなりたくありませんが、先天的にガン化のイニシエートを受けた細胞を生まれ持っている人は、遺伝子治療をするなどして、変性された細胞を処置すべしないかぎり、発ガン・イニシエーターを防止する術はありません。しかし、実際問題として、遺伝子治療には難しい問題がたくさん残されていて、現段階では医学界といえども安易に手をつけることができません。
したがって、ガンを予防したいのであれば、現時点では研究が発ガン・プロモーター抑制に頼ってガン化を食い止める方向に進まざるを得ないのです。

生薬の中には発ガン・プロモーター抑制を持っている植物がいくつか認められています。そのうち、最も有効な薬理作用を有していると見られている生薬がアシタバですが、またイヌトウキにも強い発ガン・プロモーター抑制が含まれていることがわかっています。
アシタバのガン抑制効果はこちらに詳しい作用が紹介されています。
そしてまた、ウコンにも発ガン・プロモーター抑制があることが証明されています。したがって、発ガン・プロモーター抑制効果を発揮すると考えられているウコンを常用すれば、ガンになりにくい体質になることは間違いありません。
しかし、ガンにかかった後からいくらウコンを飲んでも延命効果しかなく、ガンが治ることもありえません。
ウコンはガンの治療だけに使うものではなく、むしろ発ガン・プロモーター抑制として予防に用いられる生薬です。
ガンを抑制するためにウコンを使うのがもっとも効果的です。